okaa-tyannmatigaenn3naのブログ

一介のおたくが好きなことを好きなように書きます

RWBY vol.2の無事終了を記念して

大雑把なまとめや、よしなし事やうんちくを垂れ流す。これがRWBYを読み解く一助となれば幸いである。

 

■盤上のゲームと対立する勢力、あるいは迫り来る危機

Vol.2が更新される中、用語解説エピソードであるWorld of Remnantが合計3回更新された。なお最後の第4回は円盤にのみ収録される予定とのこと。そこで今回は、レムナントの世界をできるだけ巨視的に見ることにする。Vol.1 Episode8に戻ってみよう。ハンター候補生8人VS巨大グリム2体の大規模戦闘エピソードとして名高いPlayers and Piecesまでに、チェスがキーワード、あるいは何らかの比喩であることが示唆された。


RWBY Episode 8: Players and Pieces - YouTube

 

チェスの歴史を紐解いてみよう。チェスは2人で行う対戦ゲームだが、源流をさかのぼるとインドのチャトランガというゲームにたどり着く。これは2人あるいは4人で遊ぶゲームであり、この競技名は象(ビショップ)、馬(ナイト)、車(ルーク)、歩兵(ポーン)の四勢力を指すと考えられている。チャトランガは中東に入り、アラビア語風に訛ってシャトランジとなる。果たして、シャトランジは広く普及し、民衆の賭け事の対象ともなった。このとき、新しく加わった駒があり、これは将軍(マントリ)と呼ばれた。このゲームの駒と盤がどのようなデザインだったかはシェヘラザードの語る『千夜一夜物語』の第653夜「ザイン・アル・マワシフの恋」によれば

「黒檀と象牙造りで、四隅が金の将棋盤」「駒は赤と白、赤い駒はルビー造りで、白い駒は水晶造りでした」

とある。赤、白、黒、金、そのままチームRWBYのテーマカラーが使われている。

そして、この盤上ゲームはアラブからヨーロッパへ入り現在のチェスとなる。チェスとなった頃には、悲しいかな、将軍の駒は女王(クイーン)に取って代わられている。今後の伏線になるかもしれないが、今はやめておこう。

盤上でのゲームと言えば、チームRWBYが4人でボードゲームに興じるエピソードがあった。Vol.2 ch2のWelcome to Beaconである。

 


RWBY Volume 2, Chapter 2: Welcome to Beacon - YouTube

 

ここで行われているのはレムナントの4王国が世界の覇権をかけて激突する様を模した戦略ゲームであることが示され、ついでに各王国の特色が紹介されている。Ch2までの時点では過去に大規模な戦争が行われたことが言及されており、さりげなく人々がこのようなゲームで遊べるほどの平和を謳歌していることも示唆されている。同チャプター中、高度な技術を有した王国アトラスより、その世界最強と名高い軍隊を率いる将軍にして同国アカデミーの校長、ジェイムズ・アイアンウッドがビーコンアカデミーにやってくる。アイアンウッドはオズピンと会話の中で、この平和が何者かによって密かに脅かされていること、いざという時にオズピンに戦う用意があるかを問いただして去っていく。危機が迫っている旨は特にVol.2に入ってから繰り返し言及されており、将軍とオズピンの会話以降は大人たちがたびたび口にしている。

のちに公開されたWorld of Remnant 2 KINGDOMSでは、この平和は4王国が協調している限り続くであろう、と実に危ういパワーゲームのわずかな均衡の上に成り立っていることが明らかになる。すなわちチェスは、人類とグリム、ヒトとファウヌス、ビーコンとその敵対勢力、ひいてはレムナント4王国の情勢を表していたのだ。

 


RWBY Volume 2, World of Remnant 2: Kingdoms - YouTube

 

■Who's really behind all this?(真の黒幕は誰なのか?)

さて、ここでその均衡という平和を崩そうとする輩はいったい誰だろうか?ブレイクによれば過激派へと変わっていったホワイトファングだろうか。なるほど確かに作中ではファウヌスとヒトの間の溝は深く、互いの間に立ちはだかる壁は高い。チェス盤のように白黒はっきり分かれていて混ざりがたい。むしろ、混ざって曖昧な灰色にならない様子が現状を生み出してさえいる。しかしそれはホワイトファング単体で行っているのではなく、ローマン・トーチウィックが指揮をとっていた。その様子が現れるのがVol.1 Ep16のBlack and Whiteである。

 


RWBY Episode 16: Black and White - YouTube

 

同エピソードでは元ホワイトファングの少女と、ヒト側の巨大勢力であるシュニーダストカンパニーの令嬢とによって、今後の2種族間の和解の可能性を匂わせ、Ep.15のThe Strayから登場したペニーは車に乗せられ去っていき、幕を閉じる。ペニーのケタ外れの戦闘能力の訳は、Vol.2 ch3 A Minor Hiccup終盤から続くch4 Painting the town…の序盤より明らかになる。彼女曰く、課せられた使命は世界を救うことで、そのためにあの破壊力が必要なのだそうだ。そして、その誕生の経緯にはアイアンウッド将軍が関わっていることも。上記2つのチャプターでは彼女の他にもアトラスの保有する圧倒的な技術の一端が公開されているが、ここで少し前の疑問に戻ってみよう。アトラスがあれほどの軍事力を備え、各地でハンター候補生たちが育っている中でなお足りないと思わせるような、世界の平和を揺るがす強敵とは?

ホワイトファングだろうか?答えは否である。

確かに、ch4ではさっそくその最新鋭軍事力であるアトリージアン・パラディンを正式なロールアウトの前に鹵獲し、その威力を見せ、飛んでch10 Mountain Glennでは構成員が操縦できるまでになっている。反社会的勢力の脅威だ。しかし、それはホワイトファング単体で成し遂げたのではない。ローマンが関わっている。ch4のホワイトファング集会で語ったローマンの演説では彼の『雇い主』によって入手することができたという。しかしホワイトファングはあくまで今はローマンの指揮下にあるだけで、実際のところは兵隊にすぎない。したがって、ホワイトファングは世界を転覆させるほどの原動力にはならない。

ではグリムだろうか?これも正確ではない。

人間より二回り大きい程度のグリムならば、ビーコンのハンター候補生たちにさえ対処できる脅威だ。ゴライアスという巨大な象のグリムが群れで登場したが、ウーブレック博士によれば機が熟するのを待っているだけで今はヒトやファウヌスを襲うことはしていない。そも、WoR 2 Kingdomではレムナント4王国は地形や風土に恵まれグリムを寄せ付けにくい場所に発展し今日に至る、とある。言い換えると、グリムもホワイトファングも単体では揺るがす事ができないほど、現代の生活というゲーム盤は盤石なのだ。

では。その2つが合わさればどうなるか?と考えて実行した者がVol.1の締めに登場したシンダーだった。その有り様はCh8からCh12までのマウンテングレンでの計画に示されている。彼女がどれほど危険な人物であるかはしばしば大人たちが口にしているし、したたかなローマンでさえも目の前にするとしどろもどろになる。そんな彼が演説で言っていた『雇い主』とはシンダーのことだろう。ビジネスマンとしてボスを裏切れない彼は、アイアンウッド将軍に捕まって問い詰められても「ハッキリしてるだろ?目の前にいる」とはぐらかしている。間違いなく現時点では彼女が今後のシリーズを通してのヴィランとなる。彼女の目的をレムナント転覆と仮定した上で、その足取りを追って計画に迫ってみたい。

 

■その傾国の美女、危険につき

Vol.1の時点ではさほど出番がない。ep1からルビーやグリンダ先生と交戦するもそれまでである。時は流れて誰もが忘れた頃、ep16になってようやく顔を見せて台詞を喋り凄みを漂わせる。シンデレラは舞踏会に行くまでにすることが山ほどあったのだろう。Vol.2になってからが大舞台だ。

のっけから勝手やらかした手下を叱り飛ばして、ホワイトファングにがああしろこうさせろとローマンに言う。と思ったら、ヴァイタルフェスティバルの交換学生に混ざって平然とビーコンに入ってきて度肝を抜き、ピュラの実力を確認して彼女を何かのリストに加えて縫い物をする。続いてダンスパーティの盛り上がりに乗じて、ch3が初登場のCCTに潜入して何かを仕込む。縫い物はこのスーツのためだけかもしれない。あのチャプターで屋根の上をジャンプするアニメーションのぎこちなさにはあえて突っ込むまい。そしてMontyに曰く「学生でも通じる年齢」の割に学生には出せないような色気を放ちながらダンスに加わる。

こうしてビーコンの大人たちを慌てふためかせ、マウンテングレンから爆弾とホワイトファングとパラディンを載せて列車を発進させ、ヴェイルの地下に大穴を開けてグリムを連れてくる。グリムによってヴェイルは大混乱に陥るが、うまく1つのチャプターの中で収めることができた。この列車については予定よりも早まったようだが、それでも大目に見て成功とするそうだ。その結果ヴェイルとアトラスの評議会が合意してオズピンの立場を危うくするなど効果を挙げている。やることなすことが多少狂ってもちゃんと相手に社会ダメージを与えているのだ。トーキョーN◎VAじゃねえんだぞ。これ以上の大ボスはちょっと今は考えられない。終始Vol.2は彼女の暗躍を語ることに徹していたと言ってもいいほどだ。もちろんチームRWBYの成長やJNPRによる学園モノ成分、大人たちの気苦労などもある。これらについてはまた別の記事で書きたい。

最後に、そろそろ定例化しているのだろうところどころ細部が雑なアニメーションを残しながら、しかしシナリオには何の破綻もなく素晴らしいアクションシーンを盛り込んで進めてきたRooster Teethのみなさん本当にお疲れ様でした。Montyちょっとくらい寝てくれ。あんたが倒れたら俺は悲しみの余りRWBYを観られない。あとMontyActionを誰が真似できるんだ。と言葉を並べて、終わりの挨拶に代えさせてもらおう。RWBY Vol.2の円盤は2014年11月24日に出荷されます。

 

 

Time to Say Goodbye from RWBY, Vol. 2 (feat. Casey Lee Williams)

Time to Say Goodbye from RWBY, Vol. 2 (feat. Casey Lee Williams)