okaa-tyannmatigaenn3naのブログ

一介のおたくが好きなことを好きなように書きます

元町夏央著『熱病加速装置』を何度か読んだ感想

タイトルになっている短編『熱病加速装置』とジョーゼフ・キャンベル著『神話の力』が頭の中で化学反応を起こして結晶しつつあるので書き散らす。『熱病加速装置』を読んだのは3年ほど前だが、訳の分からないエネルギーだけは感じていて、それに『神話の力』の型をはめることでひとつ読み解くことができた。両著者が果たしてこのような読まれ方を望んだか、これに文章としての整合性があるか、はあまり考えていない。それと自己投影のような書き方になっているかもしれない。すべからくこの世に書かれた文章というのは「いつかどこかにいて私の書いた言葉を一字一句漏らさず、しかも私の意図をすべて汲み上げて理解できる誰か」に宛てたラブレターのようなものだというが仕方ないだろうか。天野大気だっただろうか。須田剛一だっただろうか。よくわからない。つまりこれは便所の落書きだ。

 思春期というのは非常に危うい期間であって、なんとなく世の中はこういうものであるらしい、と掴めてくる時期だと自分を振り返って思う。なるほど10ウン年も生きてみれば節目の年だ。You're the next! Next decade!とGACKTだって高らかに歌う。まるで車輪が一回転して進むように、ぐるりと巡ってまた別のスタートを迎える。5歳の少年と15歳の少年が同じものを見ても、読み取れるものもそれ以前とは少し違うかもしれない。彼自身が良かれ悪かれ変化を遂げているからだ。しかし、およそ10年間のうちに得られる情報や知識や教訓の蓄積量は自身が思っているよりさほど多くなく、それでも一片の道理が通っているが、それだけで世を見る眼鏡を作ってしまうのはやはり危うい。斜に構えてみたり、何かものすごい人物を真似てみたり、人々があまり見ないような方向に興味が向いたりする。熱に浮かされたようにあちこちをフラフラするので、まるで酔っぱらいの千鳥足のようになり、それを見ている親など周囲の年長者を不安にさせる。

 ところが、当の本人さえもが、内側に抱えたそのドロドロとした熱を抱えていて不安を覚える。これを発散したり表現したりして、誰かに伝えて分け合う方法をよく知らないことさえある。自分の形を定め始める頃合いなのだ。15歳の少年は5歳の頃とは違った、細分化された、よりニッチなストレスを抱える。綱渡りに挑むかのような心境を思い浮かべてみてほしい。落ちればすぐダメになってしまう。その場で止まり続けていてもそのうち落ちる。高ぶるような恐怖と、恐ろしいほどの高揚感とを同時に抱え、それらは時にやじろべえのようにぶら下がって支え、あるいは綱から引きずり落とそうさえする。常にギリギリのところを踏みしめ続けるのだ。実はこの綱渡りに安全な逃げ道もある。そちらに落ちると、その地点まで綱渡りをしてきた意味がなくなってしまうけれど。

 元町夏央の作品をさほど読んでいないのが悔やまれるが、氏は中学生男子の抱えた訳の分からないエネルギーをものすごく鮮やかに描く作家であると聞いている。表題にもなった『熱病加速装置』は、そのグラグラ煮え立った危うさをうまくコントロールする過程、道の進み方を身につけるまでを描いたように感じられた。主人公の少年は物語の開始時点で、まさにそうしたるつぼの中にいる。その熱をなんでもないことのように冷静さを装っているが、それはその高熱ゆえにメッキのように剥がれやすい。あらすじを追ってみたい。じきに転校してくるという女の子を救うためとは言え、その手を触ったあとで照れてしまう。鮮烈な出会いを果たしたその女の子と学校で会っても、すでに仲良しグループを作っていてすぐには相手にされず、ちょっとだけ身勝手かもしれないが不満を覚える。その後すぐにフォローされて彼女の名前を知り、ちょっとした秘密の幸福感を覚える。そんな彼も学校ではパッとしない方なのだ。家に帰ると優しい父と気が浮ついてきた母と間に不和があり、パワーバランスは母の方が強い。兄は自室でガールフレンドとあれこれやっている。朝でもなく夜でもない夕暮れを見ながら、ぼうっとした不満足感を、まるで掃除していない部屋のホコリのように溜め込んでいる。それが熱を帯びて炸裂するのも時間の問題だった。

彼にとってはとても重要なことから、熱をどうすることもできず外に飛び出して嘔吐しそうにさえなるが、問題は彼の肉体にあるのではない。走って走って、たどり着いてみればなんと暗くさみしい夜だろうか。冷えた頭で客観視してみれば恥ずかしくなるような惨めさばかりがある。それをよりにもよってあの転校生の女の子に見られてしまった。思わずその熱をゲロると、なんたることか、そのどうしようもなさをわかってくれたではないか!そして同じような熱病を彼女もまた抱えている!自分だけが苦しいのではない!そして彼女の見ている景色を彼もまた見た。初めて会ったときもそうだった、ガードレールの上を歩くあの姿に自分がなるのだ。

『右に落ちたりしないし、安全な左にも逃げたりしない』

『人のさ、ギリギリの瞬間って素敵だよね』

そのときより、彼はもはや孤独ではない。二人が将来どうなるか筆者にはわからないが、少なくともその瞬間においては、二人は同じものを見ることのできるパートナーとなった。言わば運命の出会いである。少年は朝とも夜ともつかない、朝焼けを見ながらバランスをとりつつ綱渡りを進めていく。

そして少年は得た癒しを原動力に母親の浮気相手に思いの丈をぶつけ一矢報いてやる。エディプス・コンプレックスの例のような事件だ。癒しを与える母親、あるいはその象徴となる人物から与えられた力を自分のものとし、自分よりも強大な敵、父親を倒す。だが、彼の内側に渦巻いていた焦熱はどんどん加速していく。『違う違う違う そうじゃなくってっ』止まらない。学校でのこと、少女とのこと、様々なことが頭の中を駆け巡り、体はもはやコントロールする術を失っている。伝えたいのは父親と母親にもう一度仲良くなってほしい、たったそれだけなんだ。素直に言葉に出すだけでよかったのに、熱のせいでそれもままならない。そのまま、吐き出しそうになった夜のように飛び出して少女の家に向かう。その一点においては、彼は言うべきことを言葉に出して表すことができた。少年が何を言ったかはあえて書かない。このとき少女も家で彼女の苦しみの最中にあったが、彼は少女をそこから外に出す瞬間を得た。このとき救われたのは少年だけではない。少女もである。ちょうどその頃、彼の家でも父親が息子の意図になんとはなしに気付き、母と父とが話し合う機会を得る。物語はこうして幕を閉じる。

 大筋を追うになんと生温かさすら感じるほど鮮明に思春期を切り取った作品であろうか。狩ってきた獲物が、あまりに一瞬のうちに捌かれてしまったがゆえにまだ温かい刺し身のようになっている。そして不思議なほどおいしくいただける。全編に懐かしさすら感じるようなエネルギーが満ち満ちて溢れかえり、こちらまで火がつきそうな勢いである。とにかくみんな読めばいいよ。俺がああいうエネルギーに満ち満ちた思春期過ごしていたらどうなっていたかなあ。

 

 

熱病加速装置

熱病加速装置

 

 

今年の夏コミ

に、行ってはいない。でも今日は記念すべき日だ。RWBY関連だ。

http://rwby.jp/

すべては今日そこからはじまる。俺はこのアニメが大好きなのでたぶんこれからもうしばらくこのアニメについていくつか記事を書くことになると思う。

こんなことを言える価値は俺にはないがお願いだからキャスト陣は実力のある奴を充実させてほしい。ファンダムは少しずつ熟してきている。今さら広告に金かけるよりコンテンツの質のよさで魅せに来てくれ。原作がそうなんだからなおさら頼む。

取り急ぎ記念として。

RWBY Vol.2が始まったよおおお!!

ものっすごく遅れたけど、取り急ぎ報告アンドお祝いまでに。

さて、Vol.1が終わってからVol.2までRWBYファンのみなさんはおよそ半年待った!開発日誌によればその間は二ヶ月間にも及ぶプリプロダクションを経て、残りの四ヶ月を本編の製作に当ててたはずだ。マジでRTのみなさんお疲れ様です。これに加え、「LAZERTEAM」なる実写SFドラマを作ろうとしていて、indiegogoで募集したら12時間以内に目標金額を達成したばかりか、文字通り札束で溺れるような金額に膨れ上がり、RWBY Vol.2の本編クリップをほんの少しだけストリーミング再生するまでに至ったりもした。いまだRvBもポッドキャストもRecapも毎週のようにあるのに、平気な顔で今も精力的に更新を繰り返している。やっぱりあそこはなんか……何かだ!10年もやってると安定感が違う!

さて。日本でRWBYを見ているみなさん。もう知ってるだろうけど書いておこう。いつになるかは発表されてないけど、日本にはワーナーエンターテイメントジャパンが配給する!そしてRT自らファンメイドから始まったアクションゲームも出す!!当然、RT StoreからVol.2相当分のブルーレイやサウンドトラックも出るだろう!あとTシャツもたぶん出ると俺は思うよ!ところで今年の夏のコミケにはそのワーナーエンターテイメントジャパンがブースを出すらしいんだけどやっぱRWBY関係なのかな?そうだと嬉しいけど。

Vol.2 chapter1のネタバレを含む感想とか、休止期間中に見てたRTからの更新とか、そういうなんかを含む記事はまたこれとは別に書く。

キルラキルを読む・はさみ・切断すること・2は1で1は2

キルラキルには片太刀鋏というキーアイテムが出てくる。劇中で使われているこのハサミは、二つの刃が初めから一体になっている和鋏ではなくて、刃と刃それぞれに柄を付けてネジで固定した洋鋏になっている。それゆえに針目縫との因縁が出来るわけだが、ハサミというアイテムの象徴性について書いてみたい。

そも、ハサミというのは、二つの刃を一つに噛み合わせる道具だ。噛み合わせて、一つのものを二つに分かれさせる、つまり切断する道具だ。抽象的な言い方だが、「一つ」の終わりで「二つ」の始まり、すなわち『生キル』ことの始まりだ。たとえば一人の女性が妊娠すれば、その胎内にもう一つ命があり、都合二つの命がそこにある。そしていよいよ出産すると、へその緒をハサミで切って、ここでようやく本当の意味で一つだった命が二つになる。ハサミと生き物の誕生には大きな関わりがあり、そこでハサミは大事な役割を持っているのだ。

さて、この、ハサミの刃と刃を噛み合わせる仕組みは、顎の動きによく似ている。すなわち食べる動きだ。生きている以上生物は栄養を摂らなくてはいけない。食べなければ飢餓状態となり死んでしまう。『飢ル』である。食べて飢えをしのぐためには、獲得した食べ物は咀嚼できる大きさにまで『斬ル』必要がある。ゆえにハサミは、さきほどとは打って変わって死の象徴でもあり、生き物の業を端的に、比喩的に表したアイテムと言えるだろう。生きる上で必要な身体感覚にそれだけ密接に関わっているのだ。

始まりと終わりはつねに一体のものだが、『切って分かれることで何かが始まる』、という意味では、エジプト神話の大地の神シブと天空の女神ヌートの誕生、ギリシャ神話のアンドロギュノス、モイライの三女神によって紡がれ割り当てられ切断される運命の糸、帝王切開、永訣の朝、桃を切って生まれた桃太郎……このように実に潤沢なモチーフがあふれている。抽象的な言い方だが、『一が二になる』『二が一になる』この両方ともが何かの始まりと終わりになりえるのだ。それが人衣一体!神衣鮮血!纏流子は本能寺学園という社会を解体する一寸法師かもしれないといつだったかの記事で書いたが、その場合流子は個人を本能寺学園の生徒という役割から切り離す役割を持った、ハサミなのだ。

ところで、流子は父親が何者かに殺されたことに苦しんでいるが、父の仇を討つのではなく「父さんのことが知りたいんだ」とマコに語っている。父親が死んだことで、父親と話すことが、父親自身を知る術がなくなったことに苦しんでいるのだ。だからキルラキルという物語は纏流子の視点から見ると復讐劇ではない。流子が、父親を殺した針目縫や、その背後にいる力へ復讐する展開があるとしたら、それはあくまで父親を探求する物語のおまけだ。

その大きな力に、鬼龍院家に深く関わり、立ち向かっているのは鬼龍院皐月だ。彼女は本能寺学園をつくった。極制服を仕立て、個々人の能力や適性を伸ばし力を与え、群衆を規律によって統制する。服を着た豚を、人間の域にまで高めるために制服によってがんじがらめに縛る。ここまで綿密に編まれた組織を、他の学校に対する戦争に使っている。こんなにもまとめられ勢力を伸ばしている社会を、対鬼龍院家の戦いに使おうとしている彼女こそが、今後は纏流子を導くだろう。迷宮に入り込んだテセウスには、怪物を殺すための剣や鎧ではなく、アリアドネの糸が必要最低限のアイテムだったようにだ。そうして纏流子は本能寺学園へ転校してくる。さながら『オデュッセイア』のテレマコスや、オイディプス王のような冒険がこうして始まった。纏流子の人生という冒険はかくして続く。


Kill la Kill (キルラキル) OST 01 - Before my body is dry ...

 

ところで、本能寺学園の部活動とか、そこで生きる個人に割り当てられた役割とか、これって一人だけではできないことばかりだよね。ボクシング、テニス、園芸、生物、喧嘩、自動車、サバイバルゲーム、情報戦略、風紀委員、吹奏楽、剣道、どれも自分一人だけではできない。他者と関わって初めて個人は存在できるし、他者と関わってこそ個性を、他者との違いを発揮できる。学校は社会の縮図とはよくいったものだ。

RWBY劇中歌の翻訳を試みる・その2

日本語としての通りのよさを重視しているので正確な対訳ではありません。また訳そのものも一部正確ではありません。誤訳が含まれています。ぜひ「ここはこうすると通りがいいぜ!」といったご意見・ご指導をいただきたいです。その場合コメント欄にてご連絡ください。歌詞はRWBYwikiを参照しています。

 

 

 

『I May Fall』

いつか心の折れるときには

押し迫る影が光を消し

幾千もの涙が流れ

助けは来ないだろう

いつか勇気のくじけるときには

友は我らを見捨て

闇の魔物たちが勝ち

太陽が昇らず

すべての望みが絶たれ

恐れに飲まれて

血の雨が降り

終わりが近付くそのときには

 

※わたしは敗れるだろう

だがこのように おまえの手にかかってではない!

わたしはくずおれるだろう

それはここではなく 今日でもない!

わたしは滅ぶだろう

全力で来い!それではわたしを倒せない!※

 

多勢に無勢を耐える

どこか魔狼や亡霊どもの巣食う地で

とうとう最期のときに

すべての想いは死に絶える

盾は砕け散り

恐怖だけが心に残る

とうとう勇気も気力も尽きて

我らは崩れ落ちる

信念を捨てて

友を見放し

月が消え去り

どこか終わりを迎えるその場に

 

わたしは敗れるだろう

 

人生が変わる一瞬があり

我らにしかできないことがあるそのときに

選び取った道が我らを導き

最後まで抗う力をくれる

心を決める一瞬があり

身をすくめず 地に伏せもせず

最悪の悪魔に向き合ったそのとき

勇気が沸き上がってくる

 

友と共に立ち上がり

少しも退かず

死神を見下してやれるなら

悪くないじゃないか

 

※※

 

訳していて調べたのですが、I May Fallの原詩は『ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還』におけるアラゴルンの演説からいくつかのフレーズを引用しているようです

 

『Gold』

望むものすべて 

叶えてあげる

欲しいものみんな

わたしがあげる

わたしはずっと

そばにいるよ

あなたが誰かにいてほしい時は

離れないでいるから

 

空の星が落ちてきて

光が消えてしまって

月が崩れ落ちそうでも

絶対だいじょうぶだよ

 

※闇なんか怖くないよ

この胸いっぱいの愛で あなたを照らし

太陽みたいに輝いて

温めてあげる

夏日を浴びてバラが香るように

怖いものなんか吹き飛ばしに行くよ

この手に触れて あなたの日々を

金色に輝かせてみせる

この手を取ったあなたの日々が

黄金に輝きますように

黄金に……※

 

なんでもやってみようよ

できないことなんてない

どんな心だってきらめいて

青空が広がるの

とっても嬉しいの

あなたがそこにいて

笑ってくれるだけで

心が晴れていく

 

そんな日々が陰りはじめて

落ちていこうとも

必ずあなたを見つけ出して

ぜんぶ元通りになるから

 

※※

 

大丈夫 あなたがいるから

絶対にあなたを守ってみせる

すぐそばに ここにいるよ

何があってもあなたに近付いてみせるから

 

目を閉じて

泣かないで

愛があなたを包んでくれる

だから飛び立っていきなさい

 

**

 

この曲はRooster TeethがSoundCloudに恵まれない子供達へのチャリティ募金を目的としてアップロードしたためか、子供を見守るような温かみのある歌詞です

 

『Red Like Roses Part 2』

 もういやだ、もう一分も耐えられなかった

あなたがいない日々なんて

わたしが今まで知ってる喜びは 

あなたが死んだときに抜け落ちた

ずっとあなたが欲しかった

なのにわたしが幽霊のように

どうしようもなくあなたのくれたものを求めていて

こんなの何もわかるわけないよ!

 

あなたがいなくなったのは夢なんかじゃなかった

絶対に何かの間違いだと思った

一緒にいるって約束してくれたのにどうして!

覚めない悪夢に囚われてしまった

 

映画みたいだけどハッピーエンドはない

演出じゃないのに視界が暗くなっていく

めでたしめでたしでは終われない物語

呪いを解いてくれる騎士もここにはいない

 

こうなるつもりじゃなかったんだよね

あなたは正しいことをしていた

でもこんな狂った世界の中

勝つために生かされたのはわたし

 

※バラのような赤が

わたしの夢に満ちてわたしを見つける

いつも近付いている

その悲しみと虚しさが

あなたの場所を奪おうと※

 

 怒りと悲しみで泣き崩れて

狂った世界に一人ぼっちと思っているでしょう

ほんの少しでも話せるのなら

こんなことをした訳をわかってほしい

 

大切に思っていたと伝えたいのに

あなたが知る私は永遠に砕かれ

あなたを守りたかったのに

牢獄のような孤独に閉じ込めてしまった

 

一人にするつもりなんかなかった

家に帰ればあなたに会えるはずだった

いつも大丈夫だって約束したけれど

でももう私は嘘つきであなたは戦いに放り込まれてしまった

 

寝物語は最悪に悲しい終わり

ページは破られ最終章はない

選べなかった できることをやった

犠牲は払ったけれど それ以上をあなたに払わせてしまった

 

悪夢の中で生きてきたのでしょう

私のせいでずっと苦しかったはず

けれどお願い 私のしたことを繰り返さないで

あなたの命を どうか無駄にしてほしくない

 

※※

 

私はあなただけに構っていられないのよ わかっていたと思ったのに

わたしはあなただけが欲しかった 一人にされるのが怖かったのにそうされた

もし変われたのなら 私は変わっていたかしら

どうしようもなく

花びらが散っていく

すべての悲劇が花開く

それはバラのように赤いあなたの血

わたしが何をしようと

あなたの墓を奪うものはない

 

※※

 

 

『Wings』

人生って

そんなに長くなくて

待っていれば

小さなサインが

 

耐えることは

難しくて

影が

満ちてきそうで

 

望みを捨てないで

心折れないで

時間を潰さないで

この方法で

大丈夫だから

 

※涙を拭いて

折れた翼でも

すぐに飛んで

浮き上がって

行けるから※

 

半日は

長い夜

希望のない目で

探していれば

 

狙いが

外れてしまって

傷ついて

隠れたくなるけれど

 

無駄に思えて

偽物みたいで

ひとりになったように

思えるけれど

明日は来るから

 

※※

 

I May Fallはすごく燃えるので好きです。Goldのダダ甘で明るいけれど不意に悲しくなる感じも好き。Red Like Roses Part2の物語を感じさせる口語体の歌詞も好き。Part2でようやくタイトルの意味がわかるようになった事には恐れいった。

 

物語におけるやられ役のやられ方について

キルラキルを見ていて、久々とも言うべきか、やられ役のやられ方が清々しいことには満足を込めたため息が出る。そうそう、そういうのを求めていたんだよ!と叫びたくなる。

物語の進行上やられるべき者が、その役割上できる最大限の仕事は「気持ちよくやられること」だ。吹っ飛ばされたモブは脈絡もなく途中でパワーアップしたり、過去を振り返って反省した結果元々持っていた才能が開花したり、悔しさのあまり怨念を纏ってすぐに復活したりはしないのだ。そういうのは主役同士のバトルにまかせておけばいい。やられ役に必要なのは、引き際を心得て身を退く潔さである。ここで引かないでいることは、わかりやすく例えて言うなら昔付き合ったが破局した異性とよりを戻そうとするくらい無謀だ。少年漫画なら燃えるシチュエーションかもしれないが、見る者に尊敬や同情をさせるつもりのない敵ならそれはやっちゃいけない。

島根県西部~広島県北部で盛んな伝統芸能の石見神楽を例に取ろう。シン(神とも臣とも)とよばれるヒーロー役が登場し、人々に害をなす鬼が登場する。両者は出会い、激しい戦いの後にシンは鬼を退治する。この時、鬼はシンがとどめを刺すシークエンスに入った後、必ず退場しなければならない。立つ鳥跡を濁さず、スパッと、あっさりとである。そうしないと物語が進まないからだ。まれに演目に関わらず、何度も何度も鬼がシンへと食らいついていく例もあるが、長すぎるとダレるので鬼の演者はその回数をわきまえなくてはならない。もちろん、観客側は鬼がいつもすぐにやられてしまうのを見ているので、少し頑張って欲しいとは思うのだが。

格闘ゲーム『Killer Instinct』について知ったかぶる

格闘ゲーム好きの諸兄は、その昔ニンテンドー64に『キラーインスティンクト』という格闘ゲームがあったのをご存知だろうか。洋格ゲー好きな人は知ってるかもしれない。俺はこいつを超面白そうだと思う。やったことないけど!

キラーインスティンクトは、古くはドンキーコングなどを作っていたあの悪名高きレア社制作のゲームである。それが11月22日を以って、『サイレントヒル:ホームカミング』や『フロントミッション:エボルヴ』を手がけたダブルヘリックスゲームズとの共同制作の下、XBOX ONE向けのリメイク版が発売される運びとなった。太っ腹にもダウンロード無料である。いわゆるF2Pだが初期6人以外の他のキャラクター、たとえば殺戮機械フルゴアや骸骨剣士スパイナルはダウンロード販売となる模様。日本でも発売されるのかわかんねーぜ!日本MSさん頑張って!

 

そも、KIとはどのようなゲームだろうか?ストリートファイターやスカルガールズがそうであるように、6ボタンに8方向レバー1つ、弱・中・強のパンチとキックがそれぞれ存在し、一言で言えばいわゆるコンボゲーである。目押しによって必殺技から必殺技が、あらゆる技がつながり、即死・永久コンボが当然のように存在し、それを後述のコンボブレイカーシステムによって脱出するのだ。

下はMiles923氏によるKIの基本システム解説である。

 

 

それほどの強烈なコンボゲーっぷりを、しかしわかりやすくしているのが、下記の4種類の攻撃である。キャラクターの繰り出す攻撃を、ゲーム側で初めから4つに分類しているのだ。

オープナー:コンボ始動技

リンカー:コンボ継続技

ダブル:ヒット数増加

エンダー:コンボ終了技

すなわち、KIにおける基本的なコンボの流れは『オープナー>リンカー>ダブル>エンダー』となる。オープナーがヒットすればそのままリンカーへと繋ぐことでコンボは継続され、ダブルでヒット数を増やしたのちエンダーでコンボを締めくくるのだ。こちらがコンボするときはエンダーで締めなければ与えたダメージはヴァイタルソースとして残り、時間経過で相手の体力は回復してしまう。

KVゲージ:コンボ補正。コンボをつなげるほどにKVゲージは上昇し、ゲージがいっぱいになると強制的にコンボが終了するため、同時にコンボ継続の難易度が上がる。ゲージの溜まり方にも特徴がある。たとえば弱攻撃は少ないリスクで繰り出せるのでゲージが溜まりやすくそれゆえコンボが途切れやすいが、強攻撃は隙が大きいためゲージが溜まりづらい。つまり強攻撃でのコンボはヒット数を伸ばしやすいが難度が高い。

コンボブレイカー:いわゆるサイクバーストに近いシステム。相手のコンボを食らっている最中に相手が繰り出した攻撃と同じ強さのボタン2つを同時押しすることで、そのコンボを強制的に終了させダウンを奪える。たとえば強Pを織り交ぜたコンボを受けたとき、強Pを食らった瞬間に強P+強Kを押すことでC-C-C-COMBO BREAKER!!!とシステムボイスが鳴り響き、相手を吹っ飛ばせるのだ。

ウンターブレイカー:先述のコンボブレイカーに対しコンボブレイカーすると発動。なんと相手のコンボブレイカーをキャンセルさせてさらにコンボを続けられるのだ。C-C-C-COUNTER BREAKER!!!入力タイミングは非常にシビアで、『GGXXAC』以降のスラッシュバック並の入力難度であるとか。

インスティンクト:HPゲージの下側にある黄色いゲージ。いっぱいに溜まると強P+強Kで発動し、ゲージがなくなるまでキャラクター固有の強化が起こる。たとえばインファイター型のキャラクターのサーベルウルフならコンボ中のダメージが増加し、パワフルな投げキャラのサンダーは前ダッシュが高速化され、さらに相手をすり抜ける効果が付く。発動時には『MvC3』のXファクターのように直前の行動をキャンセルすることも可能。あとコンボ中に発動した時点でヒット数はそのままKVゲージが一旦リセットされるのでさらにコンボをつなげることもできる。

シャドウゲージ:必殺技ゲージ。最大二つまでストックできる。

シャドウアタック:シャドウゲージを消費して繰り出す必殺技。いわゆるEX必殺技やフォースブレイク。

ウルトラ:ある程度のヒット数を稼がなければ発動できないとどめ専用技。もちろんウルトラでなくても勝敗はつくのでおもいっきり魅せ技。ウルトラコンボと言ってもスパⅣとは違うのだ。今作ではミュージカルウルトラと呼ばれ、とどめに繰り出すコンボのヒット音がまるで音楽のように鳴り響く。

 

キャラクター紹介

2013年版ロンチ時点で操作できるキャラクターのみを記載。

 

ジェイゴ(Jago)

ステロイドをキメた岸辺露伴先生ではない。彼はこのゲームの主人公でチベット出身の武僧である。ぶっちゃけニンジャだ。格ゲー三種の神器を素で揃えており、素直で扱いやすいキャラクターとなっている。必殺技名がWind KickとかEndokukenとなっている時点でお察しください。インスティンクトは体力回復。

 

オーキッド(Orchid)

謎に満ちた企業エージェント。二本のスティックを今日もブンブン、おっぱいもブンブン。ていうかいいケツしてやがる。インスティンクトはお猫様を飛び道具として呼び出す。実はジェイゴの親族。

 

サーベルウルフ(Sabrewulf)

KI世界では希少な種族とされる人狼。飛び道具を持たず、昇竜は飛ばず、動作は非常に機敏な、清々しいまでにインファイター型のキャラクターである。インスティンクトはダメージの増加。削りダメージも増えるのでガン攻めに使える。

 

サンダー(Thunder)

投げキャラ。フルネームはチーフ・サンダー。インディアン出身の彼は非常にパワフルなキャラだ。斧をぶん回し、斧で引っ掛けた相手を地面に叩きつけて顔面を踏み付け、おまけに嵐を呼ぶ男だ。投げキャラにありがちな対空投げではなく昇竜拳を持っている。インスティンクトはダッシュが高速化され無敵がつき相手をすり抜ける。

 

グレイシアス(Glacius)

氷を操る宇宙人。彼は攻撃のリーチが非常に長く相手から離れていてもコンボが可能で、ダッシュおよびステップがないのは彼だけである。GGのザトー(およびエディ)のインヴァイトヘルみたいな技が使える。彼の昇竜拳は飛ばないが一度地面に潜るため無敵が保障されている。インスティンクトは氷の鎧を纏う。

 

サディラ(Sadira)

2013版からの新キャラクター。蜘蛛女。蜘蛛の糸を相手に伸ばして高い機動力を発揮したり、網で相手を絡めとって動きを封じたりでき、奇襲性に優れる。インスティンクトは網を発動し、コンボが途切れにくくなる。